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いつも彼は、そこにいた
奇抜な衣装を身にまとい、奇天烈なメイクを施した顔で、私におどけて笑うのだ
毎日、毎日
同じ時間に、同じ場所で、同じ格好をしては、踊ったり歌ったりしながら彼は芸をする
途中で失敗するのも、同じ芸の、同じ場面
最後の最後で、彼はいつも失敗している
「また、失敗したね」
「そうですね…」
「何で、他の芸にしないの?」
「これしか出来ないのですよ…」
「変な道化師(ピエロ)さんね」
「良く、言われます」
そう言って、彼はまたおどけた様な苦笑い
では。と声をかけてから、いつも通り路地裏に消えて行く
それを見るたびに
まるで彼は、幽霊のようだと私は思う……。
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