現実から逃げた

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現実から逃げた

4年生になり野球を続ける者、野球を辞め就職する者とそれぞれの道を周りは探していた。私はもちろん野球を続けるような選手ではもうない。しかし、“働く”ということがなんなのか、サラリーマンって何するの?そんなレベルの人間だった。ようするに野球が出来なきゃただのバカなのである。社会に出るのが怖かった。就職活動もせずに相変わらず六本木で酒を浴び、合コンばかりしていた。見るに見かねた野球部長が付属高校の野球部のコーチをやりながら教職を目指したらどうかと勧めてくれた。それなら社会に出ることもなく給料も出て野球にぶら下がっていられる。せっかくの好意をそんな気持ちで受け入れとりあえずその場を凌いだ。大学は卒業し聴講生として講義を受けたが、ろくに学校には行かず教育実習までしながら教員免許は取れなかった。 もう24歳になった私はまだ就職に対する意識がない。とにかく東京に戻れという周囲の言葉から中小の運送屋に就職した。
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