野球に感謝しながら

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私は社長に侮辱された気持ちでいっぱいだった。なぜこれだけ上申書の却下に腹を立てるのかには理由がある。中小企業特有の社長の息子である。私達の前で大風呂敷を広げ会社の金で不当たりを出したからである。会社の業績不振はこの不当たりが原因であるからだ。自分はのうのうと専務を気取り次期社長は決まっている。こいつに付き合いながら歳をとるわけにはいかないと思ったからである。 しかしこの会社には感謝している部分もある。それは1社会人として私を育て上げ野球をやっていて培ったコミュニケーション力や気力はムダでなかったことを気づかせてくれたことてある。 転職を決めたが何をしたいかというとこれといってないが、誰でも知ってる会社に行こうとだけは決めていた。 そこで私はテレビCMを見ながらその企業を検索し求人のページにアクセスした。エントリーしたのは、食品メーカーとヘルスケア企業の2社にした。受かるわけないだろうと履歴書を送ると両方とも面接の連絡が来た。やはり甲子園出場が引っ掛かるらしい。 2社共面接と筆記試験が行われ採用の連絡を待っていた。実は面接の時点で受かる感触はあった。なぜなら2時間も面接したからである。採用する気がなければそんなに私に質問はないだろう。私は先に連絡をくれたヘルスケア企業に行くことにした。 前職を考慮してか物流部門に配属された。半年後には社内最大規模の部署に移動し3年連続社長賞をとり、翌年は4階級昇進の社内初の偉業を達成した。 ここまで這い上がれたのはやはり甲子園に出た自分を周りはそう見るし、これで這い上がれなければ野球に捧げた少年時代の自分や野球そのものに失礼だ。私は今後もこの気持ちを心に刻みサラリーマンとしての自分がいつか野球人としての自分を越えるまで上り詰めていきたいと思っている。 終わり🔚
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