実は

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新「うわー咲人の匂いだ´`*」 掛けられた布団に顔を埋めると咲人の香りに包まれた。 普段はエラ張りエラ張りって名前すら読んでくれない咲人…。 だけど根は優しいんだ。 こんな風に。 咲「新弥ー。ん、体温計。熱はかって。」 咲人はそう言って俺に体温計を渡した。 ヤバい…; 熱なんてないんだ…← だけど怪しまれないように素直に体温計を貰って熱を計ることにした。 咲「いつから具合わるいんだよ?」 新「えっ…と…。今朝…から?」 咲人は俺の額に手を当てて自分の体温と比べ始めた。 咲人の細い手が少し冷たくかんじて気持ちよかった。 咲「熱っ…。熱あるじゃん。」 熱……熱っ!? いや、俺は演技していただけだぞ? 確認するために挟んでいた体温計を見てみると…。 新「…38.5…。」 本当に熱があった。 通りで頭が重く感じるわけだ。 咲「お粥とか食えそうか?」 咲人が俺の頭に冷え●タを貼りながら問いかけてきた。 新「おう!」 咲「じゃ、作ってくるから。なんかあったらケータイに電話して。」 咲人はそう言うと部屋を出て行った。 相変わらずの素っ気ない話し方。 新「心配してんのか…あいつは…」 そう思って苦笑いが零れたとき。 俺の耳に聞こえてきたのは 部屋を出た瞬間駆け足になる咲人の足音だった。 リビングについてもパタパタと走っている音が聞こえて来る。 そんな小さなことが何となく嬉しくて 幸せで。 可愛い弟が本当に愛おしくなった。 .
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