9人が本棚に入れています
本棚に追加
大事なものを全て捨て、
大事なひとに別れを告げた。
ケータイと充電器にぎりしめ、身一つで逃げてきたこの地、平城(なら)の京(みやこ)。
いにしえの歴史が、この地のそこかしこに息吹いているのが感じられる。
ふるさとから逃げ出した私がやっと手に入れた安住の地。
ここで暮らしてゆくのだ。
望むなら、ずっと。
ところが今日のバイト帰りのこと。
帰ってきてみたらヤツラが『いた』。
ヤツラとは、私の実の母に伯母2人のこと。
やたらかしましい、自称美人三姉妹のおばちゃんsである。
①伯母その1は部屋干ししていた下着チェックをし、
②母はタンスに隠したポエム帳めくりに余念がなく、
③伯母その2は下宿先の奥さんに手作りケーキを差し入れていた。
①~③の光景を目の当たりにした私は、貰い物のイチゴを靴の上に落とした。
美人三姉妹、来襲――――
最初のコメントを投稿しよう!