第一章 はじまりは

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僕は驚きながら飛行場を見下ろしていた。そのせいか、自分の飛行機のエンジンの音以外にも、エンジンの音がするのに気づくのが遅れてしまった。 音のする自分の機体の後方を見ると、すぐ後ろに他の飛行機が二機、くっついていた。いや、ただの飛行機ではない。 敵国の戦闘機だ。 僕はとっさに操縦桿を左に引き、左足でフットレバーを踏み込んだ。 機体は滑るようにして降下を開始する。それと同時に、後ろの戦闘機の機銃が火を吹いた。 バリバリという発射音が響き、操縦桿を握る手にゴツンという振動が伝わってきた。 弾は右主翼のエルロンを吹き飛ばしていた。 エルロンとは機体の傾きを操る部分である。その片方が吹き飛び、機体はバランスを崩す。 僕は操縦桿を必死で操り、なんとか機体を立て直そうとするが、なかなか機体が言うことをきいてくれない。 そんな状態の僕に追い討ちをかけるように、敵機はさらに機関銃を撃つ。 僕は慌てて体を丸めた。機体にいくつもの弾が当たり、穴を開ける。その時の全ての衝撃が僕の体に伝わってくる。 バン! ひときわ大きな揺れと音が聞こえた。みるとプロペラが吹き飛び、エンジンが火を吹いている。 推進力を失った機体は失速し、炎に包まれながら落ちていく。 敵戦闘機のパイロットは撃墜を確認する前に機首を上げ、もう一機とともにその場を去った。
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