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それは中学校に入学するときだった。
『わぁ!あの子可愛い!』
『あれ?でもあの子男の子みたい』
背後からそんな黄色い声が聞こえ、俺は一層不機嫌になった。
(好きでこんな顔に生まれてきたんじゃねーよ)
俺、宮下慎士は生まれた頃からこの女顔に悩んでいた。
端から見たら喜ばしい事だと思うが、実際は全く違う。
この女顔の所為でクラスメートの男子には馬鹿にされ、女子には睨まれ、と災難続きだ。
叶うならこんな顔代えたいよ。
俺はため息をつきながら歩き始める。
ドンッ
いきなり何かが教室から出てきたと思うとそれは既に遅し。見事にぶつかり、俺は尻餅をついた。
?「悪い!大丈夫か!?」
慎「大丈夫な訳ないだろ?」
相手の方は倒れる事なく、心配そうに見下ろしていた。
?「・・・って・・・あれ?」
不思議そうに此方を見ている男。
・・・何だよ。
そして次の瞬間、彼は驚くべき行動に出た。
ビリッ
慎「なっ・・・!」
俺が驚くのも無理はないだろう。この男、俺の制服を破ったのだ。おかげで俺の学ランのボタンは取れ、前が全開だ。
しまいにこの男は笑いながらこう言ったのだ。
?「なぁ~んだ!男か!」
慎「てめぇー!ふざけんなぁー!」
ゴッ
これが俺とあいつの出会いだった。
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