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「な、んで・・・?」
すばるはそんな僕の言葉にも答えず、強く抱きしめてきた。
よかった、怒ってなかった。
嫌われてなかった。
すばるがまた抱きしめてくれてる。
そう思った瞬間に涙が溢れ出した。
「やっぱり、かなわへんな」
何も見えない視界の中でたっちょんの声が聞こえた。
「ごめんな、すばるくん。もう何もせんから。」
「大倉・・・」
なんの話?
たっちょんの声が悲しく聞こえる。
「俺なんも言うてへんから。やっぱ、仲間の悲しむ顔なんか見たないねん。」
「でも、お前が」
「俺より苦しいやつ、居るから。そいつが頑張ってるから。」
僕だけが知らない。
すばるの腕に包まれてるのに、感じたのは不安と疎外感やった。
「ヤス、ばいばい。」
たっちょんはそう言って、僕の頭をぽんぽんと撫でて去っていった。
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