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そして店の個室の中に残ったのは僕とすばるだけ。
「なぁ。」
「・・・ん?」
耳元に響く少しかすれた声。
「好きや。ずっとずっと。」
抱きしめている腕の力がぎゅっと強まり、心臓の音が聞こえる。
とくん、とくん。
どっちの音かわからへん。
「すばる。」
「章大、ずっと傍におってな。」
初めて名前で呼ばれた。
胸の奥の棘が溶けて消えた気がした。
あぁ、やっぱりこの人やないと
あかんねんな。
いつも傍にいて。
これからも傍にいよう。
それが壊れやすいものだとわかっていても、二人で守っていこう。
だから、
「うん、すばるの傍がええ。」
ずっと。
end.
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