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-赤side-
「ビールといつものなー!」
「はーい」
居酒屋でのアルバイト。
もう一年は軽く働いている俺は常連客のおっちゃんたちにも覚えられている。
まぁ、それはええねん。
問題はそこやない。
問題は、
「おーい、おっきいの!焼酎!」
「わかりましたぁ」
気の抜けるような声で返事をして焼酎を取りに行く新人アルバイト。
大倉忠義。
通称、『おっきいの』
確かに背が高くてスタイルもいい。俺が目指しているルックスを持ったバイトの後輩や。
しかし大倉が来てから
「ちっこいの!ビールまだか?」
「ちっこいのちゃうわ!!」
俺のあだ名が『ちっこいの』になってしまった。ホンマにやめてほしい。
大倉と俺が並んでたら
「おっきいのとちっこいのが並ぶとなんかおもろいな(笑)」
なんて言われる始末。
やからバイト中は大倉には近づかない俺。それでもあだ名は変わらへんけど。
「ちっこいのー!枝豆くれー」
いっそのこと枝豆を生で出してやろうか、このやろう。
「おっちゃん言うとくけどな、俺は蟻からしたら森ビルや。」
「せやったら、おっきいのはロッキー山脈やな!」
「そこまで差ぁないわ!!」
「おお!ナイスツッコミや、ちっこいの(笑)」
ああ、酔っ払いの相手は真面目にするもんやないな。疲れるわ。
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