紅い硝子玉

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―橙side― たぶん君は紅い硝子玉。 強く光るけど、どこか脆い。 俺が最後となった撮影も終わり、楽屋へと足を進める。 携帯電話を開けば、受信メール一件の表示が出ている。そのメールにさらっと目を通して、気付けばもう楽屋のドアが見える。 そしてその前には蹲っている愛しい人の姿があった。 「すばるくん?」 「・・・まる?」 優しく呼びかければ、顔をゆっくりと上げてこちらを見つめる君。 赤くなった目元はたぶん気のせいなんかじゃない。 「どう、したんですか?」 君にそんな悲しい顔をさせた人はわかっている。 でも君の言葉で何があったのか、伝えてほしいから。 「・・・。」 「とりあえず中に入りましょ?」  
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