紅い硝子玉

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中に入り、ソファーに座る。 けど、一向に口を開こうとしないすばるくん。 「すばるくん・・・話したら楽になることもありますよ?」 純粋にただ救いたいと思うのは、好きな人には笑っていてほしいから。 偽善者と言われてもいい。 僕が君を笑わせてあげれないなら、笑わせてくれる人のもとへ向かわせてあげるだけ。 「俺、どうしたらええんやろ。」 それは独り言のようにも聞こえる小さな呟きだった。 俺は弱々しく見える彼を瞳の中に写す。 「ヤスにとって、何が幸せかわからへんのに・・・俺にはヤスが、必要やねん。自分、勝手、やんなぁ・・・」 泣き出しそうな声色で紡ぐ言葉は今にも消えそうなのに、俺の耳にはしっかりと届いた。  
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