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僕は今桜の木の下で休んでいます。授業が終わった。ただそう思った。
「授業って疲れるよなぁ」
そう言って幼なじみの高城慎太郎が隣に座った。
「それはしょうがないかもしれねぇな。授業だし…」
溜め息を吐きながら苦笑いで答えるしかなかった。
風が吹いた。それと同時に桜の花びらが散り、桜風吹が起こった。見づらい、目を閉じてもう一度目を開けた。その時、僕は一人の女の子が桜風吹の中を歩いていくのを見た。一目惚れだった。
「慎太郎、あの子誰だかわかるか?」
慎太郎に尋ねる。慎太郎は目を凝らしてその光景を見た。
「同じ一年の花園桜子じゃねえのか?実力テスト一位で学年一の天才。その上可愛いって噂の」
ニコニコして答える。慎太郎の疲れきった目が突然キラキラした。うわぁ、と唖然しながらまたその子の姿を確認した。僕はその時、天使が舞い降りたのだと思った。別の表現をするなら、一目惚れだった。恐らく僕の今年最初の良いことなんだろうなぁ、と花園桜子に見とれながら思った。
そんな実力テスト、結果は三位。花園桜子と近い順位だが、点数ではかなりボロ負けだった。そして、なぜか余計に花園桜子を好きになってしまった。
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