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思い立ったら吉日。私はさっそくある人物のところに来ていた。
「――と、言うわけでっ、あなたの力を貸して欲しいの!」
私がことのあらましを説明すると、
「く、ぷぷっ、くくく……」
小刻みに震えだした。
「な、何がおかしいの!?」
「い、いや、なんでもない」
「あなたは頭がいいでしょ?だからね?こういう時になんかいいアイデアとかをパッと出してくれると思うの!」
「買い被りすぎだな」
「買い被ってなんかないよ!そのままに言っただけ。それに、あなたぐらいしか相談できないし……」
「まぁ俺はお前の特殊な性癖を知っているからな」
「知っているっていうより、暴かれた感じだったけど……まぁ、今はそんなことどうでもいい!とにかくアイデアを頂戴!!まずはなんとかしてでもあのコに近づきたいの!」
「んん……」
やっと考える姿勢を見せてくれたみたい。これで少しは期待してもよさそうかな?
「そうだな……ひとまず……」
ついに結果に至ったようだ。ドキドキ――
「男装でもすれば?」
「えぇー!?」
なななななな何を言いだすのコイツは!?そ、そんなことできるわけないし……
「ん?予想外って顔だな?まぁ、この案に深い意味はない。ただ、ヤツが女なら少なくとも男には反応するんじゃないか?例えば――」
そのあとにコイツの言ったプランは恐ろしくも計画的で、まさにあのコを出し抜かんとするとてつもない作戦ばかりだった。どれもこれも理に適っていて疑うすべもない完璧な作戦――
「ふふふ――わかった。やっぱあなたに頼んで正解だったよ。ありがとね」
「礼を言われる義理はない。ただ――おもしろそうだからな」
「ふふふふふ――」
「くくくくく――」
不気味な空気に包まれていた私たちだった。
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