CASE1 あのコのためなら

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「いらっしゃいませ♪」 「あれ?」 一番最初に耳に入った声はあの萌えボイスではなく、いつもあのコと一緒に働いているもう一人の声だった。 いつもはあのコが注文などを聞く、言わば接客係で、この人はサブと言った感じだった。 そりゃ、今まで見た中では混んでいるときなんかに接客をしているのも見たことあるけど……それはあのコがいてのこと。一人で接客なんかはしていなかったはず。 嫌な予感が私の頭をよぎる。 「あのーお客さま?」 「あぁ、えっと、ごめんなさい。そのわた――僕がいつも見かけてたんだけど、あの――ちっちゃなウェイトレスのコは?」 「……スカウトか何かの方ですか?」 「いや、違くて……ただ、今日はいないなと思ってさ」 我ながら完璧な演技!少し喉が苦しいけど我慢我慢―― 「ミクちゃんなら今日は休みですけど?」 「なぬぅっ!!!」 よ、予想外の事態……そ、そんなぁ……じゃあ今日ここに来た意味ないじゃん。
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