香織

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あれから病院を出て、およそ300m歩いた地点。明らかにちょっと気まずい。 あぁ~何か話題を! うぅ~この沈黙を脱出しね―と! 「あのさ、将。あたしちょっと寄る所あるけど…送ろうか?」 「へぁっ!?」 俺のバカさ加減…丸出し。 「ううん、大丈夫。寄るとこって本屋だろ?帰り道はまだ先だし、途中まで。」 なんて、素直になれない自分。本当はもっと一緒に居たい…何て言えない。 恥ずかしいし、勇気もない。 「あ、思い出した。あの朝の失礼な発言。どう処刑してほしい?」 前言撤回。早く帰りたい。猛ダッシュで。 「君の欲しいものを一つ買って差し上げましょう。勿論、無理な金額は無しで。」 「う―ん…今すぐは無理だから考えとくね。」 それからは黙り込んでずっと悩んでいた。 欲しいものがたくさんあって悩んでいるのか。無いから悩んでいるのか、まるで分からない。 「ほら着いたよ……って、通り過ぎてますけど。」 本屋の前を通り過ぎてスタスタと歩いて行く香織。寄るとこってここじゃない?違った? .
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