三章 亀裂

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私と清水くんは花梨の家の近くの、公園にいた。 清水くんは黙って立ち上がり 自販機にジュースを買いに行き 「はい。」 「いいのに……ありがとう。 ……。花梨さ、私のとても 大切な人なの。私、花梨が 居なかったらずっと友達を知らないまま 人生過ごして兄に迷惑掛けてたかも。 そんな……淵から手を伸ばして 笑って……話し掛けてくれたのは 花梨。だから……」 一気にまくし立てた。 止まらなかった。 花梨への感謝が。 心配が、不安がずっと怖かった。 誰かに聞いて欲しかった。 「わかった。……わかったから 泣くなって。俺だって花梨は すげえ大切。だから同じ。」 「……ごめん。」 「ん。」 ちょっと悔しかった。 清水くんが花梨を優先するのが。 そして恥ずかしかった。 花梨の彼氏にこんな気持ちを 抱いている自分が。
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