三章 亀裂

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兄は最大の勘違いをしていた。 「いやー、花梨ちゃんの彼氏かー! ごめんごめん。イケメンだなー。 うちの妹は男に興味ないから 嬉しくなってさ! もったいないな、陸里!」 「……もう出てけ。」 「理由は……聞かねぇよ。 だけどな、花梨ちゃん泣かせんな。 お前の親友だろ。」 「ん……。」 変なところで兄貴らしい。 でもそんな兄が私は好きだ。 ありがとうお兄ちゃん。 「神野の兄貴って……」 「清水くん……何故笑うの。」 「性格正反対だな、ははっ。」 「……良く言われる。」 笑い声に掻き消され、 私は電話に気がつかなかった。
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