一章 出会い

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早めに着替えをすませた私は、一階に降りた。そこには珍しく、兄が居る。 「おはよう、兄さん。」 何が嬉しいのか、兄さんは勢いよく振り向き、抱き着いた。苦しい……。 「おはよう、陸里!今日はこの兄、神野陸夜が飯を作ったぜ!」 そう言って、兄さんは、私を無理矢理席に座らせた。飯ってただのパンじゃない。 「……凄いね。ありがとう。」 ぶっきらぼうに言ったのに、兄さんは微笑んで、自分も席に着いた。 「そういえば、今日は朝練ないの?」 私の言葉に、兄さんは手をぴたりと止めた。兄さんはサッカー部。こんなんでもキャプテンだから、世も末だ。 「行ってくる!やべぇ!完璧遅刻だ!」 「……。」 世も末だ。 バタバタしていたせいで時間に気がつかなかったが、私もそろそろ……。 リビングから出る前、テレビの隣に置いてある、仏壇に足を向けた。 「……お父さん、お母さん。兄さんと私は今日も元気だよ。……行ってきます。」 一言挨拶して、私は家から出て学校に向かった。
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