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「…どうしたら離してくれるの?」
ここは慌てず落ち着いてこの場を切り抜けた方が勝ちだと判断した私は、ナルシストなクソ野郎相手に冷静に問いかけてみた。
…………"問いかけてみた"というのにだ。
「ボクとヤッたr………おっと間違えた♥ボクの彼女になったら離してあげる♥」
Σい、今!今……ッ!!
ヤッたら離すって言おうとしてた!
今そう言おうとしてたッ!!!!
この変態、サラリとすごいこと言おうとしてた!!!!!!!
「身体か!?身体が目的なのか!?」
「ヤダなぁ、チガウよ♥間違えたって言ったじゃないか。
ボクは本当にキミを彼女にしたいんだ。惚れたんだよキミに♥好きなんだ♥」
「私は嫌いだけどね」
「照れるなよ♥」
「この薄ら笑いの変態ナルシストが」
「誉めるなよ♥」
…この男は私の冷静さをあっという間に掻き乱す言動をする。
なんだコイツ、私の意思は、拒否権は無視なのか?
彼女にしたい女の願いは無視なのかヲイ!!
「私は貴方の彼女になんかなりたくないの!」
「キミって本当に照れ屋だねぇ♥」
「照れてない!!」
「遠慮しなくていいのに♥」
…このクソポジティブのナルシスト野郎…………ッ!
どうすればコイツに私の苛立ちが伝わるのか…ッ!
Σ何なんだコイツ、マジで!!
苛つくし、ムカつくし、気持ち悪いし、ウザったらしいし!!
だあああああああああああああああ!!!!!!!
考えたら本当にイライラしてきたああああッ!!!!!!!
「さあ、行こうか」
返事も返答も有無も言わさず私の腕を引いて歩き出すこの男。
私が抵抗して足を止めても、何も言わず振り向きもせず、ぐいぐいと男は私を引きずって進んでいく。
こうも女の力は無力なものなのか?
………いやいや、違う。
私、この男に流されている。
待て待て待て待て。
何を流されている私!
このままだったら相手の思うつぼ!
何を平穏に拉致られてるのよ私!
これは拉致だ!誘拐だ!脅しだ!犯罪だ!
ここは一か八か…ッ!
もう最終手段、あの手を使うしかないようだなッ!!☆
少々男にとっては致命傷だが、このままこの変態ナルシストに拉致られるよりはマシだああああッ!!!!☆
「ちょっとお兄さん」
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