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「貴方、御免なさい。暖かい場所に置いてたみたいでチョコレートが溶けちゃったみたいなの」
「あぁ、そうなのか・・・でも、良かった、君に何かあったのかと思ったよ」
「ほんと御免なさい。でもチョコが・・・」
「いや、別に溶けたって食べれるじゃないか。そんなことよりも君が作ってくれた事が何よりも嬉しい。ほら、見せて御覧なさい」
「はい」
その椿のしょんぼりとした表情に、何とかしてあげないと・・・と思い、画家は箱の中のチョコを見る。
するとその刹那、画家がおぉ!と感嘆の声を上げ、「これだ!これだよ!」とはしゃぐ様に歓喜の声を上げた。
椿は何だか良くわからないけど、その喜ぶ画家を見て笑顔を取り戻した。
「貴方、どうしたの」
「ほら!見て御覧!このホワイトチョコが溶けて、まるで、雪解けのような状態になっている!僕のイメージしていた雪解けが正にこの君の作ったチョコレートなんだ!君は凄いな!」
「まぁ!・・・何だか素直に喜べないけど、貴方がそこまで喜んでくれて嬉しいわ・・・でも」
「ん、でも?」
そこで椿が悪戯な笑みを浮かべた。そして、少し得意げになって語りだす。
「貴方知っています?」
「何を?」
「食べ物は食べる物だ」
「ハハハッ、やっぱ、君には敵わないな」
「ねぇ、貴方、今月末と来月、楽しみにしていますよ!」
家に画家の空笑いが響くとオホホホと椿の笑い声が響いた。
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