甘い雪解け

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季節は二月の中旬に差し掛かろうとしている。節分が終わり、めでたく寒明けを迎え、春が隣にまで来ているはずであるのだが、待ち焦がれた三寒四温も体験できず、余寒がまだ肌に染みる今日この頃。 空いみじう黒きに、雪少し散りたるほど、と言われたように、いや、雪こそ降っていないが、空は鈍よりとして暗く、今にも雪がちらほらと降ってきそうな雪催。 地上には先日積もった雪がまだ少し残っていて、道の脇に寄せられている。 立春と言うにはまだ遠いような気がする光景である。 然し、気がするだけの様で、草花は春めき初めていた。 民家の庭には白梅が気高く咲き誇っている。画家はそれを見ると、おっ!と感じるがどうも在り来りな様な気がして描くのは控えた。 もう少し奇抜なものは・・・と考えると、先の豆やら恵方巻きが頭を過ぎり苦笑する。あれは奇抜すぎの様である。
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