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(あーもう、やっぱり遠距離戦だと勝ち目薄いかなぁ・・・・)
炎の矢が全て撃ち落とされたのを見てルキはそんなことを思う。
前述した通り銃という武器は重く、また撃った時の衝撃はかなり大きなものだ。
銃を撃ったはいいがキチンとした“腕”を持っていなければ簡単に折れてしまうということは多い。
それほどの衝撃を受けて照準を固定できるハズがない。故に銃という武器を使用するためには支える“腕”だけではなく確実に命中させる“腕”もまた必要不可欠なのだ。
そしてルキが知る限り、ケイは肉体的と技術的の両方の“腕”を持っている。炎の矢を通常の弾丸で撃墜するなど針の穴を通すほどの集中力と脆い部分を見極める目、そしてそれに寸分違わぬ位置に撃ち込む技術が無ければ到底為し得ることではない。
「・・・・・・で?わざわざ何で遠距離戦するわけ?単細胞なお前らしくない」
「単細胞は余計よ!いいわ・・・・使ってあげるわよ!」
額に青筋を浮かべたルキがパァン、と手を勢い良く打ち合わせる。そこから生まれるは朱の輝き。
「『祖は全てを滅ぼし全てを生む朱にして灼熱!微塵も遺さず燃えし炎火、我が手に刃成せ!』」
明朗且つ力強い声がスペルを紡ぐ。その言霊(ことだま)に宿った力が、朱の輝きを一振りの剣へと形成す。
「さ、あたしもこっから本気ってことで」
「お前・・・・その剣・・・・」
「そ、これがあたしの新しい相方」
ニヤッと快活な笑顔をルキは浮かべ、剣に纏う灼熱の炎を振り払う。
炎が消え、朱塗りの刃と灰色の柄を持った鋭い長剣が現れる。
「銘は《朱姫(あけひ)》よ」
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