俺の理想の女性はシンディローパー

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4月。入学シーズン。まぁ大体の中学生が高校生になる季節。今年から高一になる俺もその例外ではないらしい。 御解高校。俺が今日から通うことになる、古風な言い方をすれば学び舎だ。 俺は自室のクローゼットから新しい制服を取り出す。新しくてどことなく光り輝いて見える制服を感慨深く眺める…なんて事はなく、俺はすぐさま右側な内ポケットがあるかを確認する。内ポケットは生命線の様なものだ。ないと死んでしまう。 内ポケットがない、なんてことはなく、どうやら普通についてるようで。 確認を終えた俺はすぐに着替えはじめる。 2分そこらで着替え終わった俺は、机の上に置いてあった小型音楽プレイヤーを内ポケットに入れる。 そのまま流れ作業でイヤホンを耳に装着。同時に再生ボタンを押す。流れてきた曲は…シンディ・ローパーのワールド・イズ・ストーン。シンディの綺麗な声が、朝の半分眠っているような脳みそに染みていく。最高の朝だ。 さて、そんなワールド・イズ・ストーンをBGMに朝食をとる。何を食ってるかなんて気にしない。 「お兄ちゃん、また音楽聞きながらご飯たべてる!行儀悪いからやめてって言ってるのに!」 ハイ、この朝から喧しい女は悲しいことに我が妹です。確か名前は…何だったかな………もうどうでもいいや。俺は構わず朝食を食べ続ける。 「ちょっとお兄ちゃん聞いてるの!?」 いや~、しかし対象実験てのは大事だな。我が妹のノイズをかき消してくれるシンディの美声。昔から変わらない声。本当に代わらねぇよ。 「お母さ~ん!お兄ちゃんが美香の事無視するよ~!」 へぇ、我が妹よ。貴様の名は美香と申すのか。初めて知ったよ。 「流。あんたあんまりふざけているとあんたの音楽プレイヤーを海水浴させるわよ。」 はい、ここで我が家最強の武人、俺のお母様であらせられる真音琴音様のご登場でございます。 「やめて!そんなことされたらこの子確実に壊れるだろ!」 俺は必死に母上に懇願する。 しかし母上はニヤリと笑って 「願ったり叶ったりだな!」 としたり顔で一言。この方は本当に俺の親なのか…? 「分かったよ…聞くのやめればいいんだろ?」 俺は仕方なく両耳からイヤホンを外す。 「これで文句ないだろ、美香。」 俺がそう聞くと美香は満足そうに 「うん、お兄ちゃん!」 と笑う。 はぁ…無邪気な顔してんな、ホント…。俺の朝シンディと引き換えに…。
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