俺の理想の女性はシンディローパー

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「美香、先に行ってるぜ?」 俺はイヤホンを再び耳に装着しながら、玄関のドアに手を掛ける。 「お兄ちゃん待ってよ!」 ドタドタこっちに向かってくる足音。 「もう、途中まで同じ道なんだから、一緒に行ってもいいでしょ?」 不機嫌そうに美香は靴を履く。 「いや、別にどっちでも。」 俺は外に出ると同時に音楽プレイヤーの再生ボタンを押す。流れてきた曲はまたもシンディローパーのTime After Time。俺のお気に入りの曲の一つだ。そんな曲を朝から聞けるとは、今日は何かいいことでもあるのかね。 さて、音楽を聞きながら登校しているので、美香との会話など全くない。それはいつものことだが、しかし逆に何故美香はいつものことと分かっていながら、俺と一緒に登校したがるのか全く分からない。確かに同じ道だが、こういう空気は所謂気まずいというやつなんじゃないか、普通。俺はどうでもいいけどね。 ふと美香の顔を見てみる。うわ、何かしらんが満足そうに微笑んでいるし。何かあったのか? 「美香、どうした?何笑ってんだよ。」 「え?私笑ってた?ごめん、気付かなかったよ。」 「そっか。」 そう言って俺は音楽の世界にまた浸る。
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