1151人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後。先に生徒会長に書類を渡して、屋上へ向かう。ぶっちゃけバックれても問題はないし、別段西荻の話を聞きたいわけでもない。何度でも言うが、俺は西荻のことなどどうでもいい。しかし逆に言えば行きたくないわけでもない。そもそも俺は屋上に呼び出されたことに関しては無関心だ。そんなだから西荻に来いと言われた以上、俺は言われた通りに動く。そこに俺の意志はないが、しかしそうなることこそが俺の意志であるとも言える。
そんな非生産的な思考をしていると、あっという間に屋上。西荻は屋上にあるベンチに座りながら、校庭を眺めていた。
「よっ!」
西荻がぼうっとしていたようなので、俺は声をかける。すると西荻は気付いたのか、少し驚いたような素振りを見せた後、俺を睨んでくる。…呼び出されて来た途端にこれかよ…。
「遅い。あたしを何分待たせる。」
「ちょいと生徒会関係で仕事があってな。」
そう答えると西荻は、あっそう、といった感じで、まるで何の興味も示さずに頷いた。俺には少し居心地の良い反応だった。
「で、話って何だ?」
俺が聞くと西荻は一呼吸置いて、答えた。
「あんたにはあたしの過去を聞いてもらう。」
最初のコメントを投稿しよう!