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何でまた急に。
「あんたの言ったことは、あたしに対する最大限の侮辱だ。だからあたしはあんたが憎いし、すぐにでもぼこぼこにしたい。でも、あんたが間違ってないのも確かなんだ。私はある種自惚れてた。あたしに、そんなことを言ったのは、善くも悪くも、あんただけなんだ。だからあんたに聞いてほしい。これは逃げだけど…あんたなら、あたしがどうしたらいいのか、教えてくれるかもしれないから…。」
はぁ…。OK、ご期待に応えて、西荻の期待を裏切ってやろうじゃないか。
「分かったよ、聞かせてくれ。」
俺がそう促すと、西荻は一呼吸置いて、覚悟するように、錯誤するように、話し始めた。
「あたしは…両親に捨てられて…孤児院で育った。孤児院では、あたしは本当に孤独だった。友達なんていなかったし、そこにいた大人たちは、誰一人として面倒なんて見てくれなかった。最低限の食事や布団をくれたくらいで…。でも、あたしが小学生に上がる頃、ある大金持ちの家があたしを引き取ってくれた。それが今の西荻家なんだ。」
悲しそうに語る西荻。思い出すのも辛いというように、俯きながら、しかし言葉を紡いだ。
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