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まぁおそらくは今の西荻は中学校の頃のようにいろんな人の家を転々としているのだろう。わざわざ「学費」と言っているのだから、つまりは家を買うどころか、アパートの家賃すら払えないと、そういう事だろう。
しかし本当に何でそこまでして学校にきたのかが分からねぇな。その学費を生活費に回せば大分楽になるだろうし、バイトもやり放題だろ。
「多分、集団の中の一部に加わりたかったからだと、あたし自身は思うんだ。誰かを信じることは出来ないけど、誰もいないのは寂しい。わがままなのは、あたし自身もわかってるんだけどさぁ。」
一瞬俺の心の中を読まれたかと思ったが、さっきの話の続きであることが分かり、少し安心した。
「わがままねぇ…そりゃ違ぇと思うがなぁ。」
俺が西荻にそう話し掛けたとき、驚いたような顔を俺に向ける。
「西荻の人間不信は孤立に対する恐怖が原因だろ。西荻自身、自分でまた裏切られるのが怖いと言ってたし。それってつまりは独りにされるのが怖いと、そういう事だろ?だったら、周りに誰もいない状態を寂しいと思うのは自然なことだし。」
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