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「俺の名前は真音流。好きなことは音楽を聞くことだ。今日からよろしく。で、あんたの名前は?」
俺は笑顔で西荻に問い掛ける。西荻は何が何だか分からないという顔をした。
正直意味が分からないだろう。でも、この対応こそが、俺が言うべきことの表れだ。
「あたしは…西荻、司(つかさ)。よろしく…。」
ある種拍子抜けた様な顔をしながら、何かを深く考えながら、俺に倣って自己紹介をする西荻。
「そっか。じゃあ西荻。俺はそろそろ帰るわ。TSUTAYAで新曲見ていきたいし。西荻も気を付けて帰れよ。」
そう言って俺は西荻に背を向ける。呆然としていたのか、西荻は俺を止めることはなかった。
~西荻side~
あたしは何が何だか分からなかった。結局あの男は何も言わずに立ち去ってしまった。
昨日あいつが来なかった時…あいつも、やっぱりあたしを裏切るんだって分かった。それでも今日呼び出したのは…多分、あいつの言葉が未だに心に突き刺さっているから。
あいつは不思議な男だった。あたしみたいなハズレ者に、そんなことまるで関係ないようという様に話し掛けて…あたしがキレてもあいつは平気な顔して反論してきて。
それでも…悪い気はしなかった。
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