第一章 貴族の紋章

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「そりゃあ皆そういう話し合いで解決してくれるなら苦労はしないな……」 「でもね、リディ……世の中はそううまくはいかないものよ」 「まぁ……貴方が領民ならそれはまかり通る理屈ね」 「でも私達は貴族」 「私達貴族は領民から税金として得たお金で禄(給料)をもらい、裕福な暮らしをさせてもらっているわ」 「それが私達貴族の権利よ」 「でも権利は責務も生じるということ」 「リディ……貴族の責務(ノヴレス・オブリージュ)とは何?」 「……」  ふてくされながらもリディクは彼女の質問に答えた。 「……ノヴレス・オブリージュとは……」 「与えられた者に等しい責任を、任された者はその重みに等しい義務を。 主君と貴婦人に忠節を、弱者を守る社会的責務を」
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