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「なにいって…っ。」 「俺、本気ですから。先輩への気持ちは、あの頃から変わってません。」 もう一度ニコッと笑った光くんは、 「家まで送ります。」 と私のカバンを持って立ち上がった。 「う、うん。」 熱い頬を隠すように下を向きながら歩く私の手を握った。 私の中学の卒業式。 私が、光君に告白された日と同じように。 強く、強く。 『逃がさない。』と言うように、私の手を握った。
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