―1―

2/10
前へ
/162ページ
次へ
「今年、咲いてないね。」 「何が?」 「サクラ。」 「あぁ~。」 真琴は『新入部員募集!』と書かれたビラから目を上げ、校舎前の桜並木に視線を移した。 「ほんとだ。」 「ねっ。私たちの入学式の時は咲いていたのになぁ。」 去年のこの日。 本当に綺麗に咲いていた桜達はまだ五分咲き。 「がんばって咲けよぉ~。」 そんなこと言っても咲くはず無いけど… せっかく私達の後輩の入学式なんだから。 ちゃんと彩ってあげなさいよ。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1451人が本棚に入れています
本棚に追加