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静かな階段の踊場。 食堂とは反対の、あまり使われない階段だからここに居るのは私たちだけ…。 なんでこんなに静かなの? 心臓の音、聞こえちゃいそうで怖い…。 「先輩……?」 あまりに沈黙の時間が長かったからか、不安気な声を出す光くん。 あぁ、好きだ。 私も、あの頃の気持ちから変わっていない。 短く、柔らかな黒い髪が… 優しい光を放つ瞳が… しっかりと私を捉える力強い腕が… ……好き。 フタをしていた“好き”という気持ちは、“涙”という形で現れる。
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