プロローグ

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「た、頼むから許してくれ!」 コンクリートでできた壁にひびが入り、床のタイルも所々砕けた建物の中に男の声が響き渡った…… 「お前は組織を裏切った」 『裏切り者には死あるのみ』 「それが組織の鉄則だったはずだ」 建物の中は薄暗くてよく見えないが、かろうじて建物に差し込んできている月明かりから建物の中は、腰を抜かして床に座り込んでいる一人の男と黒い塊─銃をその男に向けている少年、そして、その周りには黒いスーツに身を包んだ十数人はいるであろう男達が床に倒れ床を赤く染めているという光景が確認できた。 「一時の気の迷いだったんだ。頼む金をやるから許してくれ。いくら欲しい?一億いや、二億でどうだ?」 「…………」 そう言った男を少年は無言で見つめていた。
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