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夜空に浮かぶ白銀の満月。
月が発する柔らかな光と満天の星が辺りを優しく照らしている。
あるのは豊かな森と湖、海、そして、破壊された街だけである。
その破壊された街の中、一人の青年が歩いていた。
腰まである黒髪のポニーテール、鋭い目つきに漆黒の瞳、黒い着物と漆黒の羽織、袴、足袋と草鞋、そして腰に差している漆黒の日本刀。
人が百人いれば百人、口を揃えてこう言うだろう。
『サムライ』と。
だが、青年は見た目こそサムライだが、実はサムライではない。
この世界『ランフィス』にある組織『ダークネス・ファントム』の元零番隊隊長兼総司令。
風羽 黒龍である。
黒龍は滑るような足取りで破壊された街を歩いていく。
羽織に銀色の染め付けをされた零と総の文字が、月光に反射し、輝いていた。
「時空管理局……。
必ず、俺達が受けた苦しみを何倍にして返してやる……」
黒龍は憎々しげに呟く。
黒龍が言っている通り、この街を破壊したのは世界を管理する組織、『時空管理局』なのだ。
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