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街だけではない。
このランフィスに住んでいる人も老若男女関係なしに殺されていった。
黒龍はこのランフィスの唯一の生き残りなのだ。
黒龍は歩くのを止め、月を見る。
月は依然として地面を優しく照らしている。
黒龍は顔を元に戻すと再び歩き出した。
ーーーーー
黒龍の目の前に鎮座する黒を基調とした巨大な城。
ダークネス・ファントムの総本部である。
だが、その総本部も所々亀裂が走り、今にも崩れそうである。
黒龍は総本部の中に入っていった。
総本部の中は広く、暗い。
壁や床には乾いた血の染みが付着し、幽霊でも出そうである。
「……行くか」
黒龍は記憶を頼りに、漆黒の闇の中へ消えていった。
ーーーーー
黒龍が着いたのは自分の部屋。
部屋は所々散らかっているだけで、亀裂は見当たらない。
だが、いつ崩れるかは解らない。
黒龍は自分の机の引き出しを漁る。
「あった」
出したのは一本の龍笛といくつかの巾着袋。
黒龍の宝物の龍笛『薫風』であり、巾着袋にはお金が入っている。
「よし、後はもうないな」
黒龍は部屋から出て行った。
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