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鈍い音がした
何かに強くぶつかったような
…鈍く重い音
ゆっくりと音の方へ目を向けると
華『悲月!』
その声により、皆が一斉に悲月の方へと目を向けた
神『銀ちゃん!!』
新『銀さん!!』
木にぐったりともたれかかる悲月
近くには、ぜェぜェと息を荒げる銀時の姿
身体のいたるところに血の跡があり、白い着流しは紅に染まっている
その姿から、悲月との戦いが結して容易なものではないことがすぐに分かる
華『まさか…悲月が…押されている…だと!?』
土『万事屋…』
悲月がゆっくりと顔をあげ
銀時をニヤリと見つめた
悲『…流石…ですね銀時…やはりあなたを選んだことに狂いはなかった…先ほどよりもあなたが欲しくなりましたよ』
銀『うるせェよ。何度も言わせんじゃねェ。俺はてめェらのものになんざなるつもりはねェ…さっさとどこへでも行きやがれひじきやろう』
悲『悲月です。ふふふ…私は諦めませんよ…あなたに似合うのは戦場…血の色ですよ…』
戦場という言葉に
銀時の瞳が鋭さを増す
悲『あなたはただ怯えているだけですよ…今のあなたは過去から目を逸らし、逃げているだけのただの負け犬…私と共に帰るのです…あなたの心は今もこの世界を憎んでいる。血を求めている…』
悲月の言葉にあの時の光景が脳裏を過ぎった
大切な人が血に染まった
あの時の…
仲間を護れなかった
あの時の…
銀『…ッ!!!…ごちゃごちゃぬかしてんじゃ…』
銀時は木刀をゆっくりと振り上げる
同時にふわりと風が吹き
土方の前から華月が姿を消した
あのやろう…!!
土『よ…万事屋!!!逃げろ!!!』
銀『ねェェェェェェェ!!!!!─────』
その瞬間
時が止まったかのように目を見開く銀時
木刀を振り下ろす手が頭上でピタリと止まり
【カラン…】
という音と共に銀時の手から木刀が滑り落ちた
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