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『おいっ! お前 死んじゃだめだ! 私のせいで死ぬことなど許さぬ、絶対に許さぬぞ! 立ち上がって、お前だけでも逃げるのだ!』
かろうじて意識を取り戻したのは、少女の泣き声のような悲鳴が聞こえてきたからだった。
リレスは倒れたまま……驚きを隠せずにいた。
自分の命はあとわずかしかない。それなのに王女様は自らの命を犠牲にしようとしているからだ。
リレスは思った。
(王女様は、これからたくさんの楽しいことや悲しいことを学ばれて成長していく人生がある。それなのに……)
『クッ……神よ。一瞬だけでも良い、僕に……ミランフィーレさまを……守れる力をお与えください。』
リレスは突然、血がついた拳を強く握りしめ、奇跡の到来を神に祈り始めた。
『お願い……します』
この時リレスの中には、新たに
『生きたい』
という、感情が芽生え始めようとしていた。
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