火曜日 午後4時00分

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「実はさっきから気になってるんですが、センセの胸ポケットにあるのは何でしょう?」 「何って……」 センセは胸ポケットから万年筆を取り出して、う~んと考え込んだ。 「……万年筆じゃないのか?」 万年筆を手の中でくるくると回転させながら、のほほーんと聞いてくる。 馬鹿らしいと分かっているのだが、ここまで来ると私もムキになってついつい大きい声になる。 「――だからっ、センセが探していたのは?」 これじゃまるで健忘症の患者相手に喋っているみたいだ。 「……万年筆。おぉっ! 見つかった」 こういう事を、本人がクソ真面目にやっているのだから始末が悪い。
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