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せめて、人の人による人のために
日付が変わり、二時間をほど経過してから、その男はやってきた。
全身を、黒で統一した服で身を包み、がちょがちょと、背なのリュックが音を立てる。
神父は、このような出で立ちで教会にやってくる者を、何人も見てきた。それもあってか、こんな夜更けにやってきた招かざる客を、恐ろしいとも感じなかったし、追い返そうとも思わなかった。
ただ、彼が、償えるほど優しい人間であることが、どうしようもないほど哀れだった。
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