~2月14日 2人~

2/7
前へ
/17ページ
次へ
『はぁ…』 昨日と全く同じテンションでの一日が始まった。 まだ寝起きの俺の部屋に理沙が飛び込んできた。 『お兄ちゃん、メリーバレンタイ~ン!!』 口の中に無理やりチョコレートを押し込まれた。 甘い…いや、正直甘ったるい。 しかし、妹の手前そうは言えず、 『うまいよ』 と笑って見せた。 『でしょ~!さすがあたし』 理沙は満足そうに部屋を出て行った。 俺はどうやら味見役だったらしい。当日で大丈夫なのか? そうも思えたが気にせずいつものように登校の準備をした。 ふと机の上の定期入れが目に入った。そうだ、これを渡さなくちゃいけない。俺は定期入れを胸ポケットにそっとしまった。 『はぁ…』 いつもよりも女子のはしゃぐ声が大きい気がする通学路。 憂鬱だ…。 一歩ずつ足取りが重くなっていく。定期入れを渡す義務さえなければ、仮病で休んでしまいたいくらいだった。 ため息はやはり真っ白。 2月の風が俺の冷えた心をさらに凍らせた。表情は暗い…また拓海に心配されるな…そう思いながらとぼとぼと学校へと歩みを進めた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加