今日は何の日？

～２月１３日 亜美～

『お誕生日おめでとう！』

今まで私が２月１４日に必ず言われてきた言葉。

そう、明日は私の誕生日。
もちろん、一年に一度の特別な日、嬉しくないわけではない。
ただ、みんながバレンタインでウキウキしている中、私は自分のプレゼントを考えなくてはならない。

私の両親は変り者で、誕生日プレゼントに何がほしいのかを必ず前日までに申告しなければいけないルールを私に課している。

『もう高校生なんだから』

普通の家庭ならケーキの用意にとどまるくらいの年齢のはずが、うちの両親はいまだに張り切ったパーティーとプレゼントの用意に躍起になっている。
おそらく今頃、今年私が申告したバッグを買いにデパートまで出かけているのだろう。

そんなこんなで、
私は毎年バレンタインに気を向ける余裕が全くないまま今まで来てしまったのだ。

『はぁ…これでいいのか？私』

ふと、廊下でぶつかった岡崎純のことを思い出した。

高校に入って最初の学園祭で、バンド演奏を楽しむ岡崎くんに私は恋をした。
話をしたことすらないけれど、教室からちらりと見える彼に胸がドキドキしたことが何度もあった。

でも…
チョコを渡す余裕は無いな…。

大きなため息をついた私は、天井を見上げながらよりによって２月１４日に誕生日を迎える自分に少しだけ嫌気を感じていた。