はじまり―――…

21/21
前へ
/84ページ
次へ
  西嶋は、部屋のドアのところに立っていた 見張りの刑事さんに 席を外すように指示をした。 見張りの刑事さんは、部屋を出ていき、俺と西嶋は二人きりになった。 「組の構成員を20人もやっつけたんだってな。お前の仕業だろ? 俺の質問には、嘘 偽りなく答えろ。犯行が事実でも、罪を問うつもりはない。」 「…あ、事実です。」 「ほぅ、素晴らしい。  どうやった?」 「殴って、蹴って…」 「わかった。」 そう言ってから、西嶋は黙り込んだ。 「……………」 沈黙が場を制する。 何秒ぐらいだろう? 黙ったまんまの西嶋。 俺の方からは 特に話をすることがなかったもんだから、俺は ただ ただ 西嶋の発言を待った。 「…よし。」 沈黙を破る西嶋の声に、少し ビクッ とした俺。 「お前に頼みがある。  が、拒否権はない。」 なぬ? 「仕事をしてもらいたい。」  
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加