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「変形をやるぞ……ナイツ2、外視データ、頼むぞ?」
どこまでも青い空を、音速で航行する戦闘機のコックピットで、男は、後続の戦闘機にそう無線で告げた。
「了解。システムオールグリーン……いつでもどうぞ」
ナイツ2とコードネームで呼ばれたまだ若い男の声が応答すると、男は静かに息を吐いた。
短く吸って止めると、脇にある『Trans』と記されたレバーを手前に引く。
──途端──
一瞬の短かなGの後、男の視界は、特殊強化ガラスの有視界からカメラ映像のモニターへと変わる。
金属音と駆動音が連続したのは、ほんの僅か一瞬。
モニターに浮かぶ『Transform complete』の文字。
男は、一つ息を吐いた。
戦闘機は、“変形”していた。
翼持つ“人型”の兵器へと。
「変形完了。タイムは約1.2秒……変形後の機体バランス、正常。変形テスト、成功ですね」
入った通信にああ──と応えて、男は、小型の操作パネルのキーを手早く操作する。
すると、サブモニターに機体の状態をチェックするためのシートが映し出され、男はそれを入念にチェックして行く。
取り敢えず、異常を知らせる報はない。
男が再度、安堵の溜め息を吐いた頃、ホバリングしている機体の周囲を周回していた戦闘機から三度通信が入る。
「隊長、では自分もテスト開始します。よろしいですか?」
「見ている……やってくれ」
「行きます」
男の機体を横切った戦闘機が、その通信の後、一瞬の内に変形する。
コックピットは胴体部分に収納され、逆に収納されていた両腕・両脚・頭部が出現する。
「各部バランサー異常無し……良好だ」
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