始まりの夜

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「オルステア」 数ある世界の形に於いて、魔法という力が根幹を成す世界である。 オルステアにおける五大国家の一つ 「魔導興国クライ」 その中の田舎村 たった一つの診療所 そこの、ある夫婦に一人の赤ん坊が生まれた。 その日の夜 院長カイクは生まれた赤ん坊の魔力を計測していた 「そんな、いや……ばかな……生まれたばかりの赤ん坊にこんな……」 何なんだこれは…… こんなわけのわからない事が有っていいのか…… 私自身、10年以上この診療所の院長をしているがこんな魔力は赤ん坊では…………。 いや……… それどころか超一流といわれる魔導師にもこれ程の魔力なんてそうはいない。 「有り得ない……」 何故だ……… まさか…………… 一つの仮説が私の頭の中でピースを組み上げ、形を成した。 魔導医療禁書を開く。 この本は魔の医療に於ける現在の全ての症例が載っている。 「あった………」 471頁第70項“禁症” “魔素合成異常症” 「……生まれたばかりの子供に先天的にかかる恐れがある。 150年に一人発症するかしないかの珍しい病気。 症状……潜在魔力の量が常人の数千倍にも膨れあがり、魔力のコントロールが非常に困難になる……… 治す方法は存在せず、一生付き合っていくことになる………。 余りに多い魔力により、内部から身体が崩壊する危険性がある。 幼年期は特に危険である。日々、死の危険が伴う。」
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