私、幸せになってもいいですか。

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そのご家族様は父子家庭であり、 お母様は、その1人娘を産むと同時に亡くなってしまいました。 お父様は、男手1つで、その忘れ形見である女の子を育てあげました。 月日は流れ… その女の子も大人となり、 1人の男性に恋をし 結婚する事となりました。 結婚式まで数ヶ月という所… 今度は、お父様が病魔に倒れてしまいました。 そのお葬式は長女であるその方が勤め、 婚約者である、その男性のサポートの元、無事に進んで行きました。 お別れの献花も済み、お柩のフタを閉める最後の瞬間 1人娘の喪主様は、柩の中のお父様に話しかけました。 私、幸せになってもいいですか? お父さん? 喪主様は涙を流しながら、もう話す事も叶わないお父様に話しかけました。 私、幸せになってもいいですか? お父さん? そこには、赤の他人が踏み込む事のできない確かな親子の絆が在りました。 その言葉には、聞く者に哀しみの中にも感動を越えた、歓喜とも言える感情を抱かせる確かな 《何か》 が、そこには在りました。
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