優しさの宝石箱。

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この前、私がお手伝いさせてもらった仏さん。 まだ若くて20代の後半でした。 ・・・いわゆるシングルマザーってヤツで、 小学校低学年の男の子が居ます。 ・・・そして、 再婚も決まっていたらしい。 ・・・滞り無く、お葬式は進み、最後のお別れ、柩にお花を入れる時の話しです。 私「お柩に、入れ忘れた物は、ございませんか?。」 その、問いかけに、男の子は、小さい紙の箱を持って来ました。 そして、その箱には、 《かあちゃんのよめいりどうぐ》 と書いてありました。 ・・・そして、その純粋な優しさに溢れた宝石箱の中身は、化粧品とか本来、柩に入れてはいけない、火葬場で禁止されている物がほとんどでした。 だけど、私の口から出た言葉は、 「おぅ、いっぱい入れてあげな。」 と言いました。 おじさんが火葬場の人達には土下座して謝ってやるからなぁ。 この子は、小さいなりに命の別れに真剣に考え、悲しみに立ち向かってるのでしょう。 私には、断れませんでした。 私が謝って済むなら安いモノです。 この子は命の大切さを知る、きっといい大人になる。 私は、そう願い、信じずにはいられませんでした。
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