チョコレートの夢。

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とある所に、それはそれは、とても仲の良い親子さんが居ました。 親御さんは、一人娘であるお姉ちゃんを可愛がっており、たまの休日には親子3人、仲良く買い物などに出かけていました。 ある日、お姉ちゃんが道で転んで膝を擦り剥いてしまいました。 大したケガでは無いはずでしたが、出血が止まりません。 親御さん達は娘さんを病院に連れて行きました。 そこで告げられた病名は 白血病。 その日から、お姉ちゃんの入院生活は始まります。 昼間はお母さんが見舞いに行き、 夜は仕事帰りにお父さんが見舞いに行き。 お父さんは毎日、お土産にチョコレートを買っていってあげました。 沢山は食べれないからチロルチョコを2つだけ。 お姉ちゃんが1つ、お父さんが1つ。 その甘いデザートタイムは毎日のように続けられました。 面会時間の過ぎた病院の駐車場。 お父さんは毎日、泣いていました。 俺には、こんな事しかしてあげられないから、 俺には、これしかしてあげられる事が無いから。 お姉ちゃんが、もうチョコも食べられなくなるぐらい衰弱しても、 お父さんは毎日チョコレートを買って行きました。 元気になったら一緒に食べよう! まるで、その行為を続けている間は娘さんは生き続けられる!と、妄信的な祈りが込められていたのかもしれません。 そのお姉ちゃんが旅立った夜、 お父さんは泣き続けました。 一晩中、泣き続けました。 おそらくは今夜も。
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