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そのご家族さんは、おばあちゃんと、バツイチのお母さん、そして男の子の3人家族でした。
お母さんが病魔により他界されてしまいました。
おばあちゃんは、
自分の子供の葬儀なんて親がやるモノじゃない。
と、何度も言っていました。
しかし、気丈にもおばあちゃんは涙一つ見せず、立派に喪主を務め、お通夜まで無事に終わらせました。
ウチに限らず、どこの式場でも宿泊する事は可能だとおもいますが、
今回のご家族さんは、喪主であるおばあちゃんが一人で泊まりたいと申し出がありました。
通夜ぶるまいという食事の席も終わり、親戚さんも一人、また一人と帰って行きます。
私は、そんな親戚さんを見送り、おばあちゃんの使う貸し布団の到着まで待ちました。
親戚さんも、男の子も自宅に帰り、
私も貸し布団の納品が確認できたので、ご挨拶をして帰ろうとしました。
しかし、遺族様の控え室には、おばあちゃんの姿は無く、
少し探すと、夜間照明の薄暗い式場におばあちゃんの姿はありました。
おばあちゃんは一人で泣いていました。
私の存在に気付くと、
おばあちゃんは、
孫の前では泣けん。
孫の前ではしっかりしてないと。
と、人知れずに泣いていました。
そこでは、
年老いた母親が一人、泣いていました。
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