Blue

10/38

39人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
  …もうどうでもいいや… 26才の死の宣告に、あまりの若さと先の短い未来のため驚いていたが、正直なところ、声がでなければ、アオイにとっては生きる意味もなかった。 死は確かに怖い… でも、それは、死んだ後の恐怖ではなく、死ぬときの痛みへの恐怖だ。 だから、そんなことよりも、大切な声が出ないほうがよっぽど辛い。 殺すなら殺せばいい… 「…今のアオイには、生きるほうが死ぬより辛いことなんだね。」 “…あぁ” 「だったら、すぐに楽になるね。」 …………………。 ニヤリと笑った。 まるで、何か企んでいるかのよう。 …なにを考えている? 読めないカイの笑顔に、アオイは眉を潜める。 「じゃあ、俺は、これで…。 今日は、素敵な歌をありがとう。」 そういうと、殺風景なこの公園を出て行った。 …本当はただの人間なんじゃ… 普通に歩いて出て行った、カイを見てそう思った。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加