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…もうどうでもいいや…
26才の死の宣告に、あまりの若さと先の短い未来のため驚いていたが、正直なところ、声がでなければ、アオイにとっては生きる意味もなかった。
死は確かに怖い…
でも、それは、死んだ後の恐怖ではなく、死ぬときの痛みへの恐怖だ。
だから、そんなことよりも、大切な声が出ないほうがよっぽど辛い。
殺すなら殺せばいい…
「…今のアオイには、生きるほうが死ぬより辛いことなんだね。」
“…あぁ”
「だったら、すぐに楽になるね。」
…………………。
ニヤリと笑った。
まるで、何か企んでいるかのよう。
…なにを考えている?
読めないカイの笑顔に、アオイは眉を潜める。
「じゃあ、俺は、これで…。
今日は、素敵な歌をありがとう。」
そういうと、殺風景なこの公園を出て行った。
…本当はただの人間なんじゃ…
普通に歩いて出て行った、カイを見てそう思った。
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